小畠病院(福山市駅家町)

高血圧について

循環器内科 小畠 廉平医師

検診や当院などでたまたま血圧を測ると「血圧が高いですね」と言われた方もいらっしゃるかと思います。でも別に何ともないからいいんじゃないの?といわれる方もいらっしゃると思います。では血圧が高かったら何がいけないのでしょうか?まずは歴史を見てみましょう。

20世紀前半において血圧は下げると脳や腎臓といった内臓に送られる血液の量が下がるため、下げてはいけないという考えが主流だったようです。しかし1950年代に血圧が高いと内臓に異常を来すという報告が発表され、日本では1960年代はじめより九州のとある町で検診結果とその後の病気の発生率を調査した研究が行われ、それにより血圧が高ければ高いほど脳卒中や心筋梗塞といった血管が絡んだ問題が多く発生することがわかりました。他にも高血圧と病気の関係を明らかにした研究が次々と明らかになり、その後様々な種類の降圧薬(血圧を下げる薬)が登場するようになりました。

ここでのポイントは確かに血圧が高い人は病気になりやすい、では今なんらかの症状がある人は? といわれると最初に述べたように、ないとおっしゃられる方がほとんどでしょう。心筋梗塞や脳卒中は起こすとそれだけで命に関わることもあります。知らぬ間に致命的な病気になっていく、それが高血圧の怖いところなのです。

ではいわゆる「血圧が高い」とはどの血圧からいうのでしょうか?日本高血圧学会では診察室での血圧値は140/90 mmHg以上、自宅での血圧値は135/85 mmHg 以上と定められております。では血圧が高い人はみんな降圧薬を服用しなければいけないのでしょうか?

もちろん高血圧の程度や他にその人が持っている病気の種類によっては直ちに降圧薬を服用する必要のある場合もありますが、それ以外の方で必要なこと、それは生活習慣の見直しです。まずは食事についてですが、一番重要なのは塩分量です。高血圧の患者さんには1日塩分摂取量を6g未満にすることをお勧めしています。ちなみに日本人の平均塩分摂取量は約9.7g(令和元年厚生労働省国民栄養・健康調査)といわれておりますので、今までよりおおよそ4-5割減らすことが必要です。当院では診察時におしっこで大まかな1日塩分摂取量が測定できますので、血圧の高い患者さんはそれで1日塩分摂取量が多くないかチェックすることもあります。

もう一つ重要なことは運動をすることです。適度な運動は体重やウエストを減らす効果があり、特に体重が減ればそれだけ心臓にかかる負担が減るわけですからその分血圧も下がりやすくなります。できれば毎日30分以上の運動がおすすめですが、実際そこまで時間がとれない方もいらっしゃいますので、外来では20-30分の散歩をすることをおすすめしています。それ以外にもタバコを吸われている方は禁煙を、お酒を飲み過ぎの方は節酒することをおすすめしています。

以上の生活習慣の見直しを行っても血圧が下がらない場合は降圧薬の服用を検討します。降圧薬も様々な種類のものがありますが、それらの薬を1種類、効き具合によって胃は2種類以上併用することもありますが、合剤(2種類の薬が1粒になったもの)もありますので、内服する薬の錠数がふえた場合は合剤も使うことがあります。

高血圧の原因は9割前後が生活習慣の乱れ、動脈硬化、遺伝などと言われています。しかし1割程度血圧を上げてしまう病気も存在します。ですので、生活習慣の見直しや降圧剤を複数種類内服しても血圧が下がらない場合は、そういった病気がないかチェックする必要があります。

血圧を下げる薬は、「一度飲みだすと一生飲み続けなければいけない」と考えている人もいらっしゃいます。たしかに、降圧薬は高血圧の原因を治すわけではありませんから、薬をやめると元に戻る可能性は高いと言えます。しかし、服薬開始後でも、生活習慣が改善し正常血圧を維持できるようになれば薬を減量中止することもできます。ただし「良くなった」「血圧が下がりすぎた」ということで自己判断で薬を減らしたり内服をやめてしまう方もいらっしゃいますが、勝手に薬を減量中止することは危険なので、必ず主治医とご相談ください。

小畠病院 循環器内科の診療・外来案内はこちら

電話をする
ページトップへ