小畠病院(福山市駅家町)

体外衝撃波結石破砕術について

泌尿器科 大口 泰助医師

 尿路結石は、腎臓、尿管に結石がある状態です。尿路結石の主な症状は、疼痛と血尿です。「疝痛発作」と呼ばれる激痛が特徴的で、冷汗、吐き気を伴うこともあり、胃腸の病気と勘違いすることもあります。あるいはまったく自覚症状がない場合や、鈍い痛みだけのこともあります。結石の長径が5mm以下では自然に排石する可能性が高いとされていますが、自然排石が期待できない結石や、何か月も自然排石を認めない場合には、腎機能障害や感染を回避するために治療を考慮します。
 治療の選択肢の一つとして挙げられるのが体外衝撃波結石破砕術です。体外衝撃波結石破砕術とは、尿路結石を外科手術をせずに体の外より衝撃波をあて、体に傷をつけることなく結石を粉々に砕き、体の外に流しだす治療法です。治療には麻酔を必要としませんので、高血圧症の方や心臓病などの合併症をお持ちの患者さまも安全に治療を受けていただくことができます。
 結石で当院を受診される患者さんは増加傾向にあり、新規患者数(年度内に新たに上部尿路結石の病名がついた患者数)でみると2017年度は1,008人、2018年度は1,084人となりました。患者数の増加に伴い、体外衝撃波結石破砕装置(ESWL)による結石手術件数も2017年度の221件から2018年度は270件と増加しています。

 当院では1989年より体外衝撃波結石破砕術を行っていますが、この度、体外衝撃波結石破砕装置(ESWL)を独ドルニエ社の最新モデル DORNIER DELTA®Ⅲへ更新しました。中国・四国地方では導入第1号機となります。

この体外衝撃波結石破砕装置(ESWL)は筋肉や臓器を傷つけずに結石のみを破砕するため痛みは軽度で、侵襲の小さい安全な治療であり、今回の更新でより高い治療効果が期待できます。また、治療ヘッドの角度が治療台の上下120度以上を自在に移動できるため、患者さんの体型や結石部位にかかわらず仰臥位で快適な治療が受けられるようになりました。その他、X線で位置を合わせてエコーでモニタリングできるデュアルイメージングや、新開発の電磁衝撃波発生装置(EMSE)など治療成績の向上が期待できる機能も搭載されています。
 今回の機器更新を機に、地域における結石治療により積極的に取り組んでいきたいと考えています。尿路結石をお持ちの方、また今後病気が疑われるようなことがありましたら医師にご相談ください。他の医療機関からの紹介もお受けしております。

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*広報誌「葦」169号の記事(病気のコラム)より(pdfデータで読みたい場合はクリック)

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