2020/07/01

立腺特異抗原(PSA)検査が院内で検査できるようになりました

検査科長 米山 学

PSAとは、「前立腺特異抗原、prostate-specific antigen」の略語で、前立腺から分泌されるタンパク質のことです。

 6月から院内でPSAの検査を始めました。今までは、外部の検査センターに検査を委託していたので、結果をお伝えするために後日改めての来院をお願いしていました。これからは、血液を採っておよそ1時間程度で結果がわかります。健常な男性では、このPSAの多くは精液中に分泌されて血液中にはほとんどみられず、血液中PSA濃度としては4.0ng/mL以下です。ところが、前立腺になんらかの疾患があるとPSA濃度は4.0ng/mL以上に上昇し、その場合に考えられる疾患は、前立腺がん、前立腺肥大症、前立腺炎などがあります。
 よって、PSAの上昇がみつかった場合には、PSAを再度検査してPSA濃度の変動をみたり、直腸診で前立腺が大きくなっていないか、硬い部分があるかなどをみます。また、超音波検査で前立腺のサイズを測ったり、形を見たりします。さらには、症状や尿検査で前立腺に炎症があるかどうかなどを見ます。これらの検査結果を総合的にみて、がんが疑われるようならば精密検査(前立腺生検)が、肥大症や炎症が考える場合には適した治療が必要になります。
 前立腺がんは、日本ではもともとあまり多くみられませんでしたが、2010年には男性のがんのうち4番目の多さになり、さらに2016年には2番目となり、今後も増えることが予測されています。
 この前立腺がんの危険因子のひとつに「年齢」があります。50歳を過ぎると、がんになる確率が急激に増加するため、50歳を過ぎたら1年に1回はPSA検査を受けることをお勧めします。また、「家族歴」も前立腺がんのかかりやすさに関係すると言われています。そのため、前立腺がんになったご家族のおられる男性は、早期発見のためにできれば40歳になったらPSA検査を受けることをお勧めします。