昨年初以来、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症数が増大しております。広島県においても同様であり、2020年12月以来、福山・府中においては基幹病院を含む病院でのクラスターの発生に続いて、これまた老人介護施設でもクラスターが発生しています。特に昨今感染経路が明らかでない感染者や無症状の感染者が増加しています。

 我々介護サービス事業所は医療法人が運営している事業所であり、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症が疑われる利用者さんであっても、むやみにサービスの提供を拒むものではありません。ただそのためには利用者の新型コロナ感染症に関する正確な治療歴や、あるいは濃厚接触者であるかどうかの行動歴、他の人への感染の恐れの有無などを判断するための情報収集や身体所見などを取らせて頂かなければなりません。身体介助や排せつのお世話、あるいはリハビリテーションなどの目的で、数人で身体を利用者の方に密着させるのが業務だからです。

 我々医療従事者は、医療機関を受診された感染者ないしその疑いの人を正しく診断し、治療の機会を与える責務があります。さらに大切なことはその感染者から次の感染者を出さないことです。この2点は医療者の患者さんに対する重要な責務です。一方病院管理者は診療・介護現場の職員の健康を守る責務があります。

 このような背景にて、患者さんやご家族・同僚・交友関係など個人の行動歴や人間模様をお聞きする場合があります。また利用を控えていただく場合もあります。重要な個人情報をこまごまと尋ねられたご本人やご家族におかれては、極めて不快なアプローチであることと重々承知しており、改めてお詫び申し上げます。

 重ねて私どもは新型コロナ感染者その疑いの方々を差別したり、診療を拒否するものではありません。ただ、介護サービスが職員と利用者さんの密着度が高く、より感染防止対策を工夫する必要に迫られます。当院に限らずこの地域のどの医療機関の職員が感染したおれてしまっては、個々の病院機能が失われこの地域の医療崩壊の状態となります。すなわちコロナ感染症の診療だけでなく地域医療を存続させることができなくなってしまいます。この点もご理解賜りたくお願い申し上げます。  

 

                                   医療法人(社)玄同会小畠病院

                                   理事長 小畠敬太郎