尿路結石の診断と治療について

副院長 泌尿器科部長 大口 泰助医師

まとめに代えて

尿路結石は、日本でも食生活の変化により、発症が増え続けています。1990年の全国統計では、20人に1人が、一生に1度は罹患するとされています。

尿路結石の主な症状は、疼痛と血尿です。「疝痛発作」と呼ばれる激痛が特徴的で、冷汗、吐き気を伴うこともあり、胃腸の病気と勘違いすることもあります。あるいは、まったく自覚症状がない場合や、鈍い痛みだけのこともあります。

尿路結石を放置し、水腎症が続く場合には、腎臓が機能しなくなるなどの合併症を引き起こすことがあります。また、感染結石により、尿の通過障害があると、腎盂腎炎から「敗血症」という怖い病気を誘発します。速やかに専門医(泌尿器科医)を受診してください。

尿路結石とは

尿路結石とは、読んで字のごとく「尿路」に石ができる病気です。裕福な人におこりやすいということで、「富裕病」とも異名をとるこの病気は、日本でも、食生活の変化により、発症が増え続けています。1990年の全国統計では、20人に1人が、一生に1度は罹患するとされています。

石の出来る部位によって、「上部尿路結石」と「下部尿路結石」に分かれますが、現在では、約95%は前者、すなわち腎臓で形成され、または、これが尿管に下降したものです。後者の膀胱結石あるいは尿道結石は約5%で、しかも前立腺肥大症や尿道狭窄などの尿の出にくくなる状態の時に出来ます。(下図参照)

上部尿路結石が作られる過程は、尿中の成分の濃度が、何らかの原因で過飽和状態になり、有機物質も巻き込んで石のように固まり、腎臓に結晶核を生じます。その結晶が成長、凝集して、結石となると考えられています。

約2.5:1の割合で男性に多い病気です。その約8割は原因不明で、残りの2割は、①尿路通過障害、②尿路感染症、③内分泌・代謝異常、④長期臥床、⑤食事・薬剤の影響などです。

石といっても体に出来る石のこと、素材となる成分は下のとおりいろいろです。結石の成分を調べると発症の手掛かりがつかめるので、自分の結石の分析結果を知っておくことは、再発防止のためにも大変重要となります。

  1. シュウ酸カルシウム:尿路結石のなかで圧倒的に多く、およそ8割を占めています。
  2. リン酸カルシウム:シュウ酸カルシウムと共存していることが多いのが特徴です。
  3. リン酸マグネシウムアンモニウム:尿路感染が原因でおこり、いったんこの石ができると、石が細菌を増やし、細菌は石をますます成長させるという悪循環が起こります。腎盂腎杯そのままの形をした、サンゴ状結石を形成しやすい成分です。
  4. 尿酸:痛風、高尿酸血症、高尿酸尿症などの人が発症しやすくなります。
  5. シスチン:遺伝性のもので、硬く、体外衝撃波などで破砕しにくいのが特徴です。

尿路結石の症状

尿路結石の主な症状は、疼痛と血尿です。「疝痛発作」と呼ばれる激痛が特徴的で、冷汗、吐き気を伴うこともあり、胃腸の病気と勘違いすることもあります。あるいは、まったく自覚症状がない場合や、鈍い痛みだけのこともあります。痛みは、腎臓のある背部から側腹部、下腹部へと拡がりますが、しばらくして治まります。また、男性では精巣、女性では外陰部にも痛みを感じることがあります。

症状の程度は、石が存在している場所により異なります。七転八倒の痛みがあるのは、「腎盂尿管移行部」、「尿管」などの狭いところに石が詰まり、尿の流れを阻害して、水腎症という状態になるためです。膀胱に近い尿管に石がある場合は、頻尿や残尿感もあります。石が「腎盂・腎杯」に留まっている時は、痛みは無いか、あっても鈍痛程度です。

尿路結石の診断

診断は、問診や尿検査,血液検査によって,石のできたおよその場所が推測されます。確定診断のためには、以下のような検査をおこないます。

  1. 腎尿管膀胱単純撮影(KUB)・排泄性腎盂造影法(IVP・DIP):
    KUBにて結石の位置を確認します(但し、レントゲンに写らない結石もあり、これをX線陰性結石といいます)。IVPあるいはDIPは造影剤を注射し、結石を確認します。造影剤の排泄遅延や水腎症や尿管の拡張の有無を見ます。
  2. 逆行性腎盂造影法(RP):
    X線陰性結石の場合に施行します。膀胱鏡を使い、尿管にカテーテルを挿入し、直接造影剤を注入します。結石と腫瘍を鑑別するのにも有効です。感染の可能性があるので、必要がある症例にのみ行います。
  3. 超音波検査:
    腎内及び膀胱内の石であれば、X線陰性結石でも確認できます。しかし、尿管結石は場所によっては描出ができません。腎臓の形態の描出にも適しています。
  4. CTスキャン:
    X線陰性結石の描出も可能ですが、5mm~10mm間隔で撮るため、非常に小さな石が含まれないこともあります。腎臓の形態を判断でき、尿管腫瘍との鑑別も可能です。
  5. 内視鏡検査:
    膀胱結石は膀胱鏡で判断できます。

尿路結石を放置し、水腎症が続く場合には、腎臓が機能しなくなるなどの合併症を引き起こすことがあります。また、感染結石により、尿の通過障害があると、腎盂腎炎から「敗血症」という怖い病気を誘発します。速やかに専門医(泌尿器科医)を受診してください。

尿路結石の治療

尿路結石が、どこにあり、どんな大きさで、その成分は何かによって治療法は異なります。大きく分けて「保存療法」と「外科的療法」の2つがあります。

「保存療法」は、「自排」、つまり、自然に尿道から石を排出させることです。水分を多量にとり、尿管の蠕動運動を活発にさせることで石の下降を促します。小さい石の場合に有効な方法です。ほかに、尿酸結石やシスチン結石の場合には、尿をアルカリ性に変える薬などを内服し、石を溶かす治療を行います。

「外科的療法」は、石が大きく、自排が困難、あるいは尿の流れが阻害されて水腎症になる恐れがある時に行います。その主流は、「体外衝撃波結石破砕術(ESWL)」と呼ばれる方法です。これは、体外で発生させた衝撃波を体の中にある石に集め、そのエネルギーで石を砕くという方法です。細かくなった石は、尿道より排出されます。(詳しくは体外衝撃波結石破砕へ)

大きな石、硬い石でESWLに抵抗する場合、あるいは解剖学的にESWLが行いにくい場合には、ESWLと内視鏡治療の併用療法が必要となります。内視鏡的には、レーザー、圧搾空気で石を砕く方法が行われます。

尿路結石の予防について

尿路結石は、再発しやすいため、予防が大切です。

① 水分の摂取: 2000ml以上の尿量を出せる位に飲水しましょう。補給源としては、清涼飲料水、甘味飲料水、コーヒー、紅茶、アルコールの過剰摂取は避けましょう。ビール(アルコール類)には尿酸のもとになるプリン体が多量に含まれていますので、逆効果です。水道水、麦茶、ほうじ茶が適しています。

②食事の摂取: バランスのとれた食事
     Ⅰ 動物性蛋白質の過剰摂取制限
     Ⅱ 一定量のカルシウム摂取
     Ⅲ 蓚酸の過剰摂取制限(ほうれん草、たけのこ、チョコレート、紅茶)
     Ⅳ 塩分過剰摂取制限(10g/day以下)
     Ⅴ 炭水化物の摂取(穀物摂取のすすめ、砂糖の過剰摂取制限)
     Ⅵ 脂肪の過剰摂取の制限
     Ⅶ クエン酸、マグネシウムの適量摂取(野菜等)

③ 規則正しい生活: 朝や昼は軽くすませて、夕食にしっかり食べるという不規則な食べ方はタブーです。夜食べたものが、寝ている間に尿中に排泄されて尿中の濃度が高くなり、石が出来る好条件になります。寝る直前の食事も同じ意味で厳禁です。「結石は夜つくられる」ことを肝に銘じておいてください。

いまだに大部分の例では原因が分からない尿路結石ですが、「食生活」「代謝」「ホルモン」が関係していることは確かです。規則正しい食事と適度の運動、そして上手なストレス発散法にあるようです。成人病予防に共通するバランスの良い食事と運動がすすめられています。

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